多汗症治療と手術

多汗症とは?手のひらや足の裏、ワキの下などにびっしょりと汗をかくことがあるなら多汗症かも。多汗症の原因やワキガとの違い、多汗症の症状、治療法や手術法など。

多汗症とは

多汗症とは近年クローズアップされてきた病気ですが、 その名のとおり多量の汗が出る症状です。 汗が流れ出る要因としては、 体温の上昇時に皮膚表面に汗をかいて。それが蒸発する時の気化熱で体温を下げる温熱性発汗、 辛い食べ物などを食べた時に鼻や口まわり、おでこ(額)などに汗が噴き出る味覚性発汗、 緊張したりした時に汗が出る精神性発汗などがあります。 はからだの機能を整える大切な役割がありますが、 何らかの原因によって通常よりもかなり多く汗が出る症状を多汗症といいます。 多汗症は全身性の多汗症と 手のひらや足の裏、ワキなどからだの一部分に多量の汗が出る 局所性多汗症(限局性多汗症)とに分けられます。 また病気によって引き起こされる続発性多汗症と 特に原因がない、あるいは特定できない原発性多汗症とに分けることもできます。 ここでは主に手のひらやワキなどで多量の発汗がみられる 局所性多汗症について記述していきます。

多汗症の原因

手のひらや足の裏、ワキの下などに、だらだらと汗が流れ出る局所性多汗症は その原因の多くが精神性発汗によるのではないかと推測されています。 精神性発汗とは緊張やストレス、不安など 精神面が不安定になることで発汗が促されることです。 思春期などに人と接する場面で手のひらなどに汗が多く出る場合は 精神性発汗による局所性多汗症の可能性が考えられます。 汗にはエクリン汗腺から出る汗とアポクリン汗腺から出る汗があります。 エクリン汗腺は人の場合からだの広範囲に分布している汗腺で自律神経によって支配され、 発汗は交感神経が、制御は副交感神経が担っています。 緊張や不安、動揺などによっても交感神経が刺激され精神性発汗が促されることがあり、 交感神経が過敏に反応してしまうことが局所性多汗症の主な原因と見なされています。

多汗症とワキガ

多汗症とワキガはよく混同されがちです。 ワキガは腋臭症ともいわれます。 遺伝的傾向が強いほか、欧米人に多くアジア人には少ないなど人種間の発生率にも差があります。 ワキガの臭い(ニオイ)の主たる原因はアポクリン汗腺から分泌された汗が 皮膚表面にいる菌によって分解されることで、 あの独特のワキガの臭いを発生させます。 この強いニオイはフェロモンに関係しているとの説もあります。 一方、多汗症の汗はエクリン汗腺からのもので、 この汗は本来無臭ですが皮膚上で乾いた後に汗臭い(酸っぱい)ニオイを発生します。 このように汗が異なるのですから多汗症=ワキガではありません。 ですがエクリン汗腺からの汗が皮脂腺からの分泌物(脂肪分など)やアポクリン汗腺からの汗と混じり 皮膚表面の雑菌の繁殖につながってワキガのニオイを強めている可能性はあります。 ワキガもまた思春期のころからにおい始めるためどうしても敏感になってしまいますが、 気になる場合には専門医に的確な診断を下してもらう方が日常生活でストレスをためなくてすみます。

多汗症の治療と手術

多汗症の手術

局所性多汗症の治療を考える時、 外用薬や内服薬などで多汗症の症状を抑えることも可能ですが、 多汗症の症状が重ければどうしても限界があります。 その場合には手術も選択肢に入ってくると思います。 では、多汗症の手術にはどのような方法があるのでしょう。 現在主流の多汗症手術は胸部交感神経節切除術という術式です。 この手術はワキの下に数ミリの穴を開け、 胸腔鏡とよばれる内視鏡についている電気メスで胸部の交感神経を切除することで、 手のひらなどの発汗が抑えられるようになります。 ただしこの手術では背中や胸などの発汗が増える代償性発汗の症状が出るケースが多いようです。 ワキの多汗症手術には剪除法(皮弁法)という手術もあります。 ワキの皮膚を裏返し汗腺をじかに切り取っていく方法で 術者の腕が試されますので良医を選ぶことが第一です。

ボトックスによる多汗症治療

ボトックス治療は ボツリヌス菌毒素製剤を皮膚下に注入することで 数日後から効果があらわれ始め数ヶ月間発汗抑制の効果が持続します。 様々な発汗場所に注射できるそうですが、わきの下の多汗症に効果が高いようです。 多汗症手術のような代償性発汗は少ないとのことですが、 ボトックス注入後は一過性の副作用が出る場合があります。 またボトックスは持続性に欠けることと料金が難点です。 ただ数ヶ月の効果が見込めますので 夏場特に多汗症状が気になる方には向いているかもしれません。 ボトックスもまた信頼できる専門医に治療してもらう必要があります。

外用薬での多汗症対策

重度の多汗症でなければ制汗剤で効果が見られる場合もあります。 市販の外用薬としてはオドレミン液やテノール液があります。 多汗症かなと思ったら、最初はこのような外用薬で効果を見るのが良いかもしれません。 医師に処方される多汗症治療の外用薬も含めて多くが塩化アルミニウムを主成分としています。 副作用は少ないですがかゆみやかぶれが出ることもあります。 多汗症の症状や皮膚の状態を見て濃度をかえる必要性はあります。 また本来あるべき発汗作用を抑えるわけですから、 効果があらわれたら使用頻度を減らすなどして 体への負担を軽くしてあげる必要もあると思います。

多汗症の治療と手術(名古屋)

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